相変わらず特定の食べ物を推奨するテレビ番組
7月のテレビ朝日『林修の今でしょ!講座』において、バナナが取り上げられたそうだ。番組に対して「エビデンスはあるのか?」、「また推奨した特定の食べ物が明日売り切れるのか…」といった批判が出ているようだ。
このようにメディアの健康情報紹介の流れは、「○○には△△が含まれている!」→「△△は健康にいい!」というパターンがほとんどである。
しかし、「フルーツジュースは糖尿病リスクを上げる*1が、果物は死亡リスクを下げる*2」というエビデンスから分かるように、健康効果というのは「成分」よりも「食べ物」に注目しなければならない。
視聴したわけではないので、番組まとめサイトおよび番組公式サイトで内容を確認し、代表的な効能についてエビデンスを調べた。
エビデンスに基づいたバナナの健康効果
バナナはローカロリーで食物繊維豊富
バナナの基本的な栄養価は以下のとおり。1本あたり100kcal前後と食べ応えの割にローカロリーだ。
カリウムによる高血圧改善効果はあるのか?
カリウムは血圧を下げる働きを持つことが知られており、カリウムを積極的に摂取する人は脳卒中のリスクが低下するというエビデンスは存在する。
成分よりも重要な「バナナの摂取と心臓病リスクを直接結びつける調査」は見つからなかったが、バナナが短期間のうちに血圧を下げることを調査した研究は公開されていた。
番組で推奨された黒バナナは「GI値が低く血糖値スパイクを起こさない」のか?
番組内容まとめサイトによると、「バナナが黒くなると果糖が増え、黒バナナは血糖値を上昇させにくくなる」、「GI値は30に減少する」としている。
GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、その食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇するスピードを計ったもの。 ブドウ糖を摂取した時の血糖値上昇率を100として、相対的に表されています。 このGI値が低ければ低いほど血糖値の上昇が遅くなり、インシュリンの分泌も抑えられるのです。
バナナのGI値は一般的にはミドルクラスに分類され、健康な人が顕著な血糖値スパイクを起こすことはない。しかし、バナナのGI値は熟す程度によって異なる。
完熟前のバナナは、消化酵素によって分解されにくいレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を豊富に含むため、血糖値の上昇が低く抑えられる事が分かっている。*3
そして黄色くなり完熟が進むにつれてレジスタントスターチは、吸収されやすい糖に変わってしまう。
上の表を見ると、確かに黒バナナは黄色いバナナに比べると少しGI値を落とすものの、まだ完熟前より高い。筆者の調査した限りでは、GI値が30に減少する根拠は見つけられなかった。
また、英語圏で黒バナナの健康ブームが起きている兆候は見られない。
GI値が減少するどころか「完熟を過ぎたバナナは、完熟前のバナナに比べて血糖値を2倍近く上昇させた*4」という研究もあり、あえて完熟オーバーさせることは血糖値急上昇のリスクを伴う。またGI値が減少し始める閾値を見定めることも困難であるため、健康のために黒バナナを摂取する必要はなさそうだ。
バナナの食べ分け術の怪しさ
番組では「乾燥」、「冷凍」、「加熱」によって食べ分けると、それぞれ効用が異なると紹介された。しかし、「バナナの加工法によって健康効果に変化が見られる」というエビデンスは存在しないので、深く意識する必要はないだろう。
バナナは健康的なフルーツとして優秀なおやつとなり得る
今回の調査範囲では、『林修の今でしょ!講座』で紹介された「黒バナナ」および「バナナ食べ分け術」について、信憑性に疑問があった。
しかし、フルーツには明確な健康上のメリットが確認されており、「バナナなら1/2本を果実1単位として、1単位増えるごとに6%死亡率が低下する」ことが分かっている。したがって、バナナを含むフルーツを積極的に摂取することが健康増進に繋がることは間違いない。
バナナはローソンやファミリーマートで1本100円から売っているので、外出先で手軽に摂取できる健康的な食品として大変優れていると言えるだろう。
おすすめは成城石井の田辺農園バナナ
成城石井で販売しているバナナは、どれも味がよくてコスパも悪くないのでおすすめしたい。
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