適量のコーヒーは死亡リスクを下げる可能性が高い~揺れ動くコーヒー摂取の善悪~

カフェラテ

近年はポジティブな健康効果を指摘する研究が多い

コーヒーが健康的な食品かどうかについては、現在も議論が続いており、かつてはWHO(世界保健機関)の発がん性を有する食品リストに名を連ねていた。

しかし近年になって「健康的」とされる証拠が増えてきているようだ。それに伴いWHOは2016年に発がん性食品リストからコーヒーを削除した

コーヒーが有意に死亡率を下げることを報告した大規模コホート研究

大規模な3つのコホート研究*1を解析した2015年の論文によると、適度なコーヒー摂取(1日3〜5杯)は、8〜15%死亡リスクを減少させることを報告している。また、この研究によると死亡リスクとの関連はカフェインの有無に左右されない。

ただし、これは非喫煙者に制限した場合の結果で、喫煙の影響を考慮しない全被験者の場合は、2杯目以降は死亡率と逆相関に変わる。

コーヒー摂取と死亡率の関係

コーヒー摂取と死亡率の関係 出典:Association of Coffee Consumption With Total and Cause-Specific Mortality

コーヒー消費量と喫煙量との間には強い相関があるため*2、コーヒー摂取量が増えると喫煙によるリスクが大きく影響してしまうと考えられる。

熱すぎる飲み物はコーヒー以外でもNG

食道がんに関しては、前述のWHOの研究機関(IARC)の報告*3のとおり、温度が高すぎる(65℃以上)ことが問題であり、コーヒーそのものの影響ではない。

コーヒーに含まれるアクリルアミドの発がん性

米カリフォルニア州の裁判所は2018年5月に、州内で販売されるコーヒーに「発がん性警告ラベル」を貼るようスターバックスなどに命じる判決を出した。

カリフォルニア州でこのような判決が出たからといって、コーヒーに含まれるアクリルアミド規制の世界的な動きには発展していない。

発がん物質であることは確かだが、人間の健康に影響する量をコーヒーから摂取するのは現実的ではなく、アクリルアミドは摂取しないに越したことはないが神経質になる問題ではないと考えてよいだろう。

睡眠の阻害には注意

就寝の数時間前に合計200mgのカフェイン(コーヒー約2杯)を摂取すると、10分ほど入眠潜時(寝付くまでの時間)が長くなり、30分程度睡眠時間が短くなるという報告があるため、夜のコーヒー摂取は健康維持に重要な睡眠を阻害する恐れがある

コーヒーを我慢できない人は、夜はカフェインレスコーヒーに切り替えることを勧める。

結論:量、温度、飲む時間が適切ならコーヒーは健康的な飲料である

津川先生の『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』の中でもコーヒーは、健康的である可能性が示唆される食品に分類されている。

健康的である可能性の高い食品

健康的である可能性の高い食品 出典:世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

コーヒーは各国の保健機関から健康のために積極的に摂取するよう勧告されているわけではないが、現在コーヒーを好んで飲んでいる人(※非喫煙者)が、健康のために量を減らす必要性を示す証拠は少ない。

もちろん砂糖を入れすぎたら健康効果など吹き飛んでしまうので、ブラックの苦手な人はシュガーレスのカフェラテなどでコーヒーを楽しむのがよいだろう。

なお、欧州食品安全機関(EFSA)の報告によると、健康な成人が摂取しても安全と考えられるカフェインの量は約400mgである。コーヒー1杯のカフェイン含有量は約90mgなので、他の食品とトータルしても3杯くらいは問題ない。ただし妊婦・授乳婦は1日200mgまでなので、該当する場合は注意して欲しい。

グラフの詳しい見方や学術用語は、こちらの記事を参照。 

*1:現時点(または過去のある時点)で、研究対象とする病気にかかっていない人を大勢集め、将来にわたって長期間観察し追跡を続けることで、ある要因の有無が、病気の発生または予防に関係しているかを調査すること。 出典:国立がん研究センター

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