「食後すぐに歯を磨いてはいけない」は本当か?
食後に歯を磨くと歯が削られる?
以前より「食後すぐに歯を磨くと柔らかくなった歯が削られてしまう」という話を耳にしたことはあって、なるべく食後の歯磨きは食事から30分空けるよう心がけてはいた。
しかし、朝は早起きで時間がない、職場の昼休憩は短すぎるという社会人にとって、歯磨き前に30分の時間を確保することは容易ではない。
そこでこの説の真相と、社会人にとっての理想の歯磨きについて考えてみた。
食後に歯は磨いてはいけないのか?
週刊現代に掲載された「気をつけろ!60すぎたら、歯をみがいてはいけない」(2016年9月24日・10月1日号)という特集記事の影響もあって、食後すぐに歯を磨くことがよろしくないという認識が一般にも認識され始めた。
「歯はみがいてはいけない (講談社+α新書) 」の著者:森昭氏によると、本来、歯磨きは歯や歯ぐきに粘着するプラーク(歯垢)と呼ばれる物質を除去することが目的であるが、日本人の歯磨きは、単なる食べかす取りになっているという。
しかも食後の歯磨きによって、歯が削られ、口内環境改善になくてはならない唾液を洗い流してしまうと主張している。
また、市販の歯みがき粉は、歯の表面をツルツルにして「みがけた感」を出すため、プラークの危険に気づかなくなるので使う必要がないそうだ。
歯は食事をしたあと、リンやカルシウムが唾液に溶け出し「軟らかく」なります。そのとき歯ブラシの毛先が当たると、歯が削れて知覚過敏になります。
口内環境の悪化が様々な病気に繋がることを考えれば、これらの主張が本当なら由々しき事態である。
「歯が削られる」説には異論がある
週刊現代の記事を受けて、女性セブンがすぐさま「「歯を磨いてはいけない」は本当なのか 歯科医が回答」という記事を出して複数の歯科医のインタビューを掲載した。
その記事によると複数の歯科医が食後の歯みがきを推奨している。
歯が溶けるのはプラークが付着した場所だけなので、むしろ歯みがきで積極的にプラークを除去すべきです
女性セブン2016年10月13日号
歯科医師の共通認識から答えを探る
専門家の意見が分かれてしまうと、一般人は何を信じればいいのか分からず困ってしまう。そこで歯科医師に共通する見解、すなわち科学的に最も妥当と思われる事項から社会人の口腔ケア最適解を推定してみた。
科学的事実、および概ね妥当と考えてよい事項は以下のとおり。
- 唾液は歯の表面を修復し、歯周病菌をはじめとする口内細菌を除去する働きがある
- 睡眠中は唾液の分泌が極端に少なくなり、細菌の活動が活発化する
- デンタルフロスや歯間ブラシは、歯ブラシでは取りきれないプラーク除去に有効(歯の間にある食べかすやプラークを除去し、殺菌作用のある唾液の通り道を作る)
- 食べかすが虫歯に有害なプラークになるまでに約24時間かかる
- 歯みがきを行う最も重要な時間帯は就寝前
社会人でも実践可能な口腔ケアの流れ
朝
・睡眠中に増殖した細菌を除去するため、飲食前によく口をすすいでうがいする。
・時間があれば、歯みがき粉は付けずに歯ブラシで軽く歯をみがいてからから朝食を食べる。
・デンタルフロスで食べかすを除去して出勤。
昼
・ランチ後にデンタルフロスで食べかすを取り除く。
※プラーク形成まで24時間かかるので歯ブラシによる歯みがきは必須ではない
おやつ
・おやつを食べた後は、舌まわし運動で食べかすを取りつつ、唾液を出す。
なお、再石灰化を促すため、おやつをだらだら食べ続けないよう注意が必要だ。
夜
・【重要】寝る前に必ずデンタルフロスと低刺激歯みがき粉&歯ブラシでプラークを除去
歯みがき粉で食事の味が変わってしまう問題
日本の市販の歯みがき粉は、爽快感を出すための過剰なメントール刺激を受けたり味覚を狂わされることから、こんなものを口に含んで大丈夫なのか?と不安に感じている方も多いと思う。
味覚の変異の原因は、ラウリル硫酸ナトリウムという発泡剤で、泡立ちをよくして歯を磨けた感を演出するほぼ無用な成分である。
大人の場合は歯みがき粉は必須ではないという歯科医も多いが、いきなり歯みがき粉から卒業するのはやや抵抗があった。
そこで筆者は歯垢を落とすための補助的な役割として、「Xyli-White」という低刺激でラウリル硫酸ナトリウム不使用の歯みがき粉を輸入して使用している。
発泡剤不使用なので最初は物足りないが、慣れてくると逆に日本の歯みがき粉が刺激が強すぎて使えなくなる。低刺激性歯みがき粉を探している方は試して欲しい。
Now Foods Xyli−White(エキシリルホワイト)歯磨きジェル、リフレッシュミント、6.4 oz (181 g)
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