運動は発がんリスクを減らすが、血管疾患に関しては毎日運動しても効果は大きくならない

発癌リスク「低線量被ばくVS運動不足」

福島の原発事故の時、低線量被ばくによる発がんリスクについての図が目に入り、運動不足や塩分過多が低線量被ばくと同等以上のリスクに分類されていて驚いた記憶がある。

低線量被ばくVS運動不足

確かに「運動は様々な病気のリスクを減らす」ことは、多くの研究結果が蓄積してきており、厚生労働省も毎日の運動を以下のとおりエビデンス付きで推奨している。

 生活習慣病の予防などの効果は、身体活動量(「身体活動の強さ」×「行った時間」の合計)の増加に従って上昇する3)。

3)Pate RR, et al: Physical activity and public health: a recommendation from the Center for Disease Control and Prevention and the American College of Sports Medicine. JAMA 1995;273:402-407

身体活動・運動|厚生労働省

ところが今回取り上げる論文は、上記の記述とはやや結論が異なるようだ。

血管疾患に関しては運動頻度が上がってもリスクは低下していかない

www.ncbi.nlm.nih.gov

この英国の女性を対象とした大規模な研究において、運動の頻度・期間・種類と冠動脈疾患、脳血管疾患および静脈血栓塞栓症の発症リスクとの関連が調査された。

定期的な身体活動と血管疾患のリスク
定期的な身体活動と血管疾患のリスク 出典:Frequent Physical Activity May Not Reduce Vascular Disease Risk as Much as Moderate Activity

この調査によると、運動をしないかほとんどしない人に対して、定期的に運動している人は、冠動脈疾患、脳血管疾患および静脈血栓塞栓症のいずれの発症リスクも有意に低くなる。

しかし、リスクが最も低かったのは中程度の頻度で運動している人で、「毎日」の人ではむしろリスクが増加する傾向もある。(上の図を参照)

どうやら毎日のハードな運動は、必ずしも健康にポジティブな効果をもたらさないようだ。

とはいえ多忙な社会人にとっては、週2~3回の運動頻度が現実的であるから、運動のしすぎをさほど心配する必要はないかもしれない。

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