高身長とがんの関係
2018年10月に「高身長の人の高いがん発症リスクは、細胞の数に一因があるかもしれない」という研究結果が出された。
この研究は、アメリカ、ヨーロッパ、韓国の男女を対象にした調査を解析したもので、「身長が10センチ高いと、がん発症リスクも約10%上がることが分かった」という。
考えられる理由のひとつとして、「背の高い人ほど細胞数が多く、それに伴い突然変異が起きる可能性も高くなる」ことが挙げられている。
身長差による細胞数の増加率と発がんリスクの増加率がよく一致している。
性差とがん死亡リスクの関係
男性は同一部位で比較すると、女性よりも発がんリスクが35~55%高い。
男女の身長差を考慮すると、細胞数の増加により高まると予想される発がんリスクは約17%であるので、細胞数の増加によって性差による発がんリスク増加の全てを説明することはできない。
残りの一部は、世界的に男性の喫煙率および飲酒量が女性より多いことで説明できると考えられているが、それでも性差による発がんリスクの全ては解明されていない。
日本で行われた身長とがん死亡率の関連調査
これに先立ち、日本人を対象に行われた身長と死亡との関連を調べた大規模な調査でも、男性に関しては「高身長ほどがん死亡リスクが高く、脳血管疾患および呼吸器疾患死亡リスクが低い」という結果が出ている。
身長と死亡との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
全死亡率では有意差はない
この日本人を対象とした研究においても、高身長者のがん死亡リスクは高くなっているるが、脳血管疾患および呼吸器疾患死亡リスクは低くなるため、全死亡率で見ると有意差はない。また、女性については、男性同様の傾向はあるが有意差はなかった。
高身長の人の高いがん発症リスクに対処法はない
もちろん高身長はコントロールできないので、原因が「背の高い人ほど細胞数が多く、それに伴い突然変異が起きる可能性も高くなる」のであれば、対処するすべはない。
とはいえ10cmあたり10%の発がんリスク増加よりも、野菜摂取による発がんリスク低下の効果の方が大きい。
したがって、科学的に証明された5つの基本的な食材「魚、野菜と果物、茶色い炭水化物、ナッツ類、オリーブオイル」を粛々と食べ続けることが健康への近道であることに変わりはない。
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