座りすぎで死亡リスクが上昇
近年、シドニー大学の研究をきっかけに座りすぎの健康リスク調査が各地で行われるようになった。その研究の成果の蓄積により、長時間座っていることは、癌、血管疾患、糖尿病、COPDなどの病気の発症率および死亡率を上昇させることが明らかになっている。
メタアナリシス
これは47の研究成果を統合して統計解析した調査結果である。様々な病気のリスクを確実に上げることが分かる。
しかもこの研究によると、座りすぎによる死亡リスク上昇は、運動習慣の有無とは独立して現れるとのことに注意が必要だ。いくら普段運動していても、座っている時間が長ければ、死亡リスクは上昇してしまう。
- 全死亡率 all-cause mortality:1.240倍 (HR, 1.240 [95% CI, 1.090 to 1.410])
- 心血管疾患死亡率 cardiovascular disease mortality:1.179倍 (HR, 1.179 [CI, 1.106 to 1.257])
- がん死亡率 cancer mortality:1.173倍 (HR, 1.173 [CI, 1.108 to 1.242])
- 2型糖尿病発症率 type 2 diabetes incidence:1.910倍 (HR, 1.910 [CI, 1.642 to 2.222])
ただし、毎日の活発な身体活動が、座りすぎによる死亡リスク上昇を打ち消す可能性を指摘するメタアナリシスも存在するので、やはり適度な運動は健康増進には不可欠だ。
日本人を対象としたコホート研究
NHKの座りすぎ特集で取材を受けていた鵜川重和氏によって、日本人を対象とした座りすぎと死亡リスクの関連が調査されている。
肺がんとTV視聴時間
1日4時間以上テレビを見る男性は、2時間未満の人に比べて肺がん発症率が1.36倍になる。
COPDとTV視聴時間
2018年7月に81歳で死去した落語家・桂歌丸さんが患っていた慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主にたばこの煙が原因で肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなる病気である。
COPDはタバコ病と言われるほど喫煙との関連が深いが、非喫煙者であっても、1日4時間以上TVを見る男性は、2時間未満の人に比べて発症リスクが1.63倍になるという。
女性に関しては、統計的に有意な結果が出ていないが、この原因として「女性は家事をしながらTVを見ることが多く、TV視聴時間が座りすぎの指標として機能していない」ことが考えられると考察している。
対策はあるのか
座りすぎ健康リスクは、まだ研究が始まって日が浅いため、そのメカニズムや対策が詳しく分かっていない。
クローズアップ現代のゲスト講師によると、「30〜1時間に1度は立ち上がって動く」といったぼんやりした対策しか今のところ示せないようだ。
スタンディングデスク導入
一部の企業では、立って仕事をするスタイルを導入している。確かに疲れてない時なら、立って読書をすると比較的集中できるような感覚は、以前より感じていた。
そこで改めて座りすぎの健康リスク調査したことをきっかけに、自宅にスタンディングデスクを導入することにした。
スタンディングデスクのレビューはこちら。
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